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ビジネスフォンとクラウドPBXは、どちらも代表電話の着信、保留、内線、転送を扱える仕組みです。ただし、電話の交換機能をオフィス内に置くか、クラウド上で使うかによって、工事、端末、働き方、障害時の備え、費用の考え方が変わります。
結論からいえば、固定席中心で既存の電話機・ドアホン・FAX連携を重視するならビジネスフォンが有力です。一方、外出・テレワーク・複数拠点が多く、スマートフォンも内線として使いたいならクラウドPBXを検討する価値があります。確認日:2026年8月5日(日本時間)。
ビジネスフォンとクラウドPBXの違いを先に結論で比較
最初に押さえたい違いは、代表電話を制御する仕組みの置き場所です。ビジネスフォンは主にオフィス内の主装置、クラウドPBXは事業者のクラウド基盤を利用します。

ビジネスフォンは、主装置と複数の専用電話機をオフィス内に設置して使う構成が一般的です。クラウドPBXは、インターネット経由でPBX機能を利用し、スマートフォンやPCを内線端末として使えるサービスがあります。PBXは外線と内線をつなぎ、内線同士の接続を制御する電話交換機を指します。NTT東日本のPBX解説でも、PBXの基本的な役割とビジネスフォンとの違いが説明されています。
ビジネスフォンが向く会社
社員がほぼ同じオフィスで働き、卓上電話の操作性や安定した社内運用を優先したい会社です。既設の電話機、ドアホン、構内放送などとの連携を維持したい場合も、現状設備を含めて検討しやすい方式です。
注意点:移転、席替え、増設では配線や機器設定が必要になることがあります。主装置の保守期限や故障時の交換可否も確認が必要です。
クラウドPBXが向く会社
営業担当者の外出、在宅勤務、拠点間連携が多く、会社の番号でスマートフォンから発着信したい会社です。人員の増減や拠点追加に合わせ、端末・内線を柔軟に増減したい場合にも候補になります。
注意点:音声はインターネット回線、社内LAN、Wi-Fi、モバイル通信の影響を受けます。サービスごとの対応番号、機能、サポート範囲を個別に確認しなければなりません。
迷う会社の判断軸
「スマホ内線化したい」だけで即決せず、代表番号を維持できるか、同時通話数は足りるか、周辺機器が使えるか、障害時の着信先をどうするかまで決めましょう。月額だけではなく、5年程度の総費用で比較することが重要です。
混同しやすい用語を整理:ビジネスフォン・主装置・PBX・クラウドPBX
用語を分けて理解すると、見積もりの比較や事業者への質問がしやすくなります。特に「電話機」と「電話を制御する仕組み」を同じ意味で扱わないことがポイントです。

ビジネスフォンは「業務用の電話システム」
一般にビジネスフォンは、複数の電話機と主装置を組み合わせ、代表着信、保留、内線、転送などを行う電話システムを指します。家庭用電話機とは異なり、複数人で代表電話を受けたり、保留した電話を別の担当者へ回したりする業務に適しています。
主装置・PBXは電話をつなぐ中枢
主装置やPBXは、外線と内線の接続を制御する中枢です。厳密な用語の使い分けは製品・事業者によって異なりますが、担当者としては「どこに交換機能があり、故障時に誰が保守するのか」を確認すれば実務上の判断に役立ちます。
クラウドPBXは交換機能をクラウドで利用する方式
クラウドPBXでは、オフィス内に大きな交換機を持たず、クラウド上のPBX機能を利用します。専用電話機に加え、サービスによってはスマートフォンやPCを内線化できます。ただし、すべてのクラウドPBXが同じ機能、同じ品質、同じ番号引継ぎ条件ではありません。導入可否はサービス単位で確認してください。
ビジネスフォンとクラウドPBXを7項目で比較
比較で重要なのは、機能の多さではなく、自社の電話対応を止めずに運用できるかです。以下の7項目を、現状と将来計画の両方から確認しましょう。

1. 機能:基本機能は共通でも、拡張機能に差が出る
代表着信、保留、転送、内線といった基本機能は、両方式で利用できます。クラウドPBXでは、IVR(自動音声応答)、通話録音、着信履歴の確認、CRMなどとの連携を用意するサービスもあります。ただし、これらは標準機能とは限らず、オプション料金や利用条件が設定される場合があります。
2. 端末と利用場所:固定席中心か、社外利用も多いか
ビジネスフォンは卓上電話機を中心とした運用に向きます。クラウドPBXは、スマートフォンやPCで会社番号を使えることが強みです。ただし、私物スマートフォンを使うBYODでは、退職者の権限削除、画面ロック、アプリ管理、録音データへのアクセス制御を運用ルールに落とし込む必要があります。
3. 工事・変更:移転や増員の頻度を確認する
オフィス内設備を中心とするビジネスフォンでは、電話機の増設、レイアウト変更、移転で配線や設定作業が発生することがあります。クラウドPBXは端末追加をしやすい傾向がありますが、ネットワーク設定、番号開通、端末配布、利用者教育は必要です。「工事不要」という言葉だけで、準備が不要と考えないようにしましょう。
4. 費用:初期費用・月額・通話料を5年で見る
ビジネスフォンは、主装置、電話機、設置工事、保守が初期費用または更新費用に影響します。クラウドPBXは、初期設定費、内線数に応じた月額、電話番号・回線、通話料、録音やIVRなどのオプション、ネットワーク強化費が総額に影響します。比較では、初年度だけでなく、既存契約の解約費や移行支援も含めた3年・5年の総保有コストを見ましょう。
5. 通話品質:クラウドPBXはネットワーク設計が前提
クラウドPBXの音声品質は、回線の混雑、社内LAN、Wi-Fiの電波状況、モバイル通信、端末性能などの影響を受けます。通話が多い会社では、音声用の帯域を確保できるか、会議や大容量通信と回線を共有して問題がないか、電波が弱い場所はないかを事前にテストしてください。
6. セキュリティ:端末・権限・録音データを分けて考える
セキュリティは「クラウドかオンプレミスか」だけで決まりません。管理者権限の多要素認証、退職・異動時のアカウント削除、端末紛失時の対処、録音データの保存期間、ダウンロード権限、操作ログの確認方法を要件化しましょう。
7. 障害対策:停電・回線障害・サービス障害を想定する
ビジネスフォンは、オフィスの主装置や電源が止まった場合の影響を確認します。クラウドPBXは、オフィスの回線障害時にモバイル回線へ切り替えられるか、着信を別番号へ転送できるか、クラウド事業者の障害時にどう連絡・復旧するかを確認します。代表電話を受けられない時間をどこまで許容するか、経営判断として決めることが大切です。
月額料金だけで比較しないでください。クラウドPBXは低い初期費用で始められるケースがありますが、内線数、同時通話数、電話番号、通話料、オプション、端末、ネットワーク、支援作業を加えると総額は変わります。反対に、既設ビジネスフォンが使える状態であれば、すぐに全面更改しない方が合理的な場合もあります。
代表電話番号は引き継げる?クラウドPBX移行で最初に確認すること
代表番号は会社の信用や取引先との連絡に直結するため、機能比較より先に確認すべき項目です。番号を維持できる可能性があっても、自動的に移行できるわけではありません。

固定電話サービス提供事業者間の双方向番号ポータビリティは、NTT東日本では2025年1月14日から受付開始と案内されています。従来より番号を引き継げる選択肢が広がりましたが、対象番号、提供エリア、移行先事業者、契約内容によって制約があり、現在の契約がそのまま継承されるわけではありません。NTT東日本の双方向番号ポータビリティ開始案内を確認し、最終的には移行元・移行先の双方へ確認してください。
番号移行で確認するべき4点
- 現在使っている番号の種別(0AB-J番号、ひかり電話専用番号帯など)
- 現在の電話サービス提供事業者と、移行先クラウドPBXが接続する回線・電話サービス
- 移転の有無と、新旧拠点の所在地・番号区画
- 番号移行中の不通時間、工事日、費用、必要な申込情報・書類
必要書類や本人確認・法人確認の方法は、契約先と番号移行の条件によって異なります。登記情報、契約者情報、現在の請求情報などが必要になる可能性はありますが、記事上で一律に断定せず、見積もり取得時に「番号移行に必要な書類・申込期限・不通時間」を書面で確認することをおすすめします。
「番号ポータビリティ対応」だけでは判断できません。番号自体が対象でも、移転先エリア、契約形態、クラウドPBX側の対応回線、工事枠の状況で可否や日程が変わることがあります。代表番号を失えない会社は、契約前に番号維持を前提条件として見積書・申込内容に明記してもらいましょう。
失敗しやすい周辺機器・運用のチェックポイント
電話の発着信だけを確認して切り替えると、運用開始後にFAXやドアホンなどで問題が出ることがあります。既存設備と非常時の連絡手段を、導入前に一覧化しましょう。

FAX・ドアホン・警備設備などは個別確認が必要
FAX、複合機、ドアホン、構内放送、警備設備、エレベーターの非常通報装置などは、電話回線やアナログ回線を前提に接続されている場合があります。クラウドPBXへ切り替えても、そのまま利用できるとは限りません。機器メーカー、保守会社、電話事業者の三者に、接続方式と代替案を確認してください。
110番・119番などの緊急通報は運用場所を確認する
スマートフォンアプリやソフトフォンから緊急通報を行う場合、発信場所の扱い、通知される番号、サービスごとの制約が異なることがあります。緊急通報を日常業務で使う可能性がある拠点では、通常の携帯電話回線も含めたルールを決め、クラウドPBXの説明資料と契約条件を必ず確認しましょう。
録音・履歴・権限管理は「誰が見られるか」まで決める
通話録音や発着信履歴は、クレーム対応や教育に役立つ一方、個人情報・取引情報を含みます。保存期間、削除方法、管理者、閲覧権限、退職者のアカウント停止、端末紛失時の対応を決めずに導入すると、便利な機能がリスクになります。
停電と回線障害のとき、代表電話をどこで受けるか
少なくとも「オフィスが停電した場合」「固定回線が止まった場合」「クラウドサービスに障害が起きた場合」の3場面を想定してください。代替として、スマートフォンへの着信振り分け、別拠点への転送、モバイル回線、予備電源、緊急連絡網などを組み合わせます。導入先任せにせず、社内で一次対応者を決めることが重要です。
中小企業向け:自社に合う方式を選ぶ判断フロー
選定は「どちらが新しいか」ではなく、現在の電話業務と今後3〜5年の働き方に合うかで決めます。以下の順番で条件を整理すると、比較がぶれにくくなります。

手順1:電話対応の実態を数字で把握する
利用人数、電話機・スマートフォンの台数、ピーク時の同時通話数、1日の受電量、営業時間、電話番の人数、拠点数を数えます。「社員数」だけでは必要な回線・同時通話数は決められません。
手順2:代表番号を残すことを最優先条件にする
代表番号を維持したい場合は、現在の番号種別、契約先、移転予定、希望切替日を先に整理します。番号移行が不確定な段階で、クラウドPBXの契約を急がないことが大切です。
手順3:働き方で一次判定する
固定席・単一拠点・既設連携機器が中心ならビジネスフォン寄りです。外出・在宅・複数拠点・人員増減が多いならクラウドPBX寄りです。ただし、どちらの場合でも回線品質と障害対策の確認は省けません。
手順4:5年総コストと運用負荷で最終判定する
初期費用、月額、通話料、端末、工事、保守、オプション、ネットワーク対策、解約費、移行支援を同じ期間で比較します。加えて、管理者が日常的に行う設定変更、権限管理、障害時対応の手間も見積もりましょう。
導入前に整理したい10項目
- 現在の代表番号・FAX番号・回線契約
- 利用者数と端末数
- ピーク時の同時通話数
- オフィス、店舗、倉庫、自宅などの利用場所
- 固定電話、スマホ、PCのどれで受電したいか
- ドアホン、FAX、警備設備などの周辺機器
- 録音、IVR、営業時間外アナウンスの必要性
- Wi-Fi・LAN・モバイル通信の品質
- 停電・回線障害時の代替受電方法
- 移転、増員、拠点追加の予定
導入・乗り換えの進め方
電話の切替は、契約後ではなく現状調査から始まります。代表電話を止めないために、番号・回線・端末・周辺機器・切替当日の役割を一つずつ確認してください。

1. 現状を棚卸しする
請求書、契約書、電話番号一覧、配線図、利用端末、周辺機器、保守契約を集めます。分からない項目は、現在の電話会社や保守会社に確認しましょう。特に同時通話数とFAX・ドアホンの接続方式は、後から不足が発覚しやすい項目です。
2. 要件を文章にして複数社へ伝える
「代表番号を維持したい」「東京と大阪で内線化したい」「営業時間外は留守番電話にしたい」のように、必要な結果を文章で伝えます。見積もりでは、初期費用・月額・通話料・オプション・サポート・番号移行費・端末費を分けて出してもらうと比較しやすくなります。
3. 利用場所で通話テストを行う
クラウドPBXを候補にするなら、オフィス、自宅、外出先、倉庫など実際に受電する場所でテストします。音切れ、遅延、片通話、Bluetooth機器との相性、Wi-Fiからモバイル通信への切替などを確認してください。
4. 切替当日の連絡体制を決める
切替日時、担当者、事業者の連絡先、受電テストの順番、不具合時の戻し方、顧客への案内要否を決めます。切替後も数日間は発着信履歴、録音、転送、FAX、ドアホンなどを重点的に確認しましょう。
INSネットを利用している場合は早めの確認が必要です。NTT東日本は、INSネットの新規販売を2024年8月31日に終了し、サービス提供を2028年12月31日に終了予定と案内しています。PBXやビジネスフォン、構内コードレス端末などを利用している場合は、単純な回線変更で済むかを保守会社へ確認してください。NTT東日本のINSネット終了に関する案内で対象サービスと終了予定日を確認できます。
ビジネスフォンとクラウドPBXの違いに関するFAQ
クラウドPBXとビジネスフォンの最大の違いは何ですか?
代表電話を制御する交換機能の置き場所です。ビジネスフォンは主にオフィス内の主装置と電話機で運用し、クラウドPBXはインターネット経由でクラウド上のPBX機能を使います。その違いが、端末、工事、社外利用、障害対策に影響します。
クラウドPBXなら既存の固定電話番号を必ず使えますか?
必ず使えるわけではありません。番号種別、現在の契約先、移行先サービス、所在地、移転の有無、受付条件で可否が変わります。双方向番号ポータビリティの開始で選択肢は広がりましたが、契約前に移行元・移行先へ個別確認が必要です。
クラウドPBXは通話品質が悪いですか?
一律に悪いとはいえませんが、インターネット回線、LAN、Wi-Fi、モバイル通信、端末の状態に左右されます。通話の多い会社や、電波が不安定な場所で受電する会社は、導入前に実際の場所でテストし、予備回線や転送ルールも検討してください。
小規模な会社でもクラウドPBXを導入する意味はありますか?
外出先でも会社番号で受電したい、少人数でも電話の取次をしたい、固定席を減らしたいといった要件があれば検討価値があります。一方、単一拠点で卓上電話だけを使い、既存設備が十分に機能しているなら、ビジネスフォンを継続する方が適する場合もあります。
ビジネスフォンからクラウドPBXに変えるとFAXは使えますか?
利用中のFAX機器・回線・サービス構成により異なります。クラウドPBXの音声通話とFAXの対応は別問題になることがあるため、FAX番号を維持したい場合は、事業者と複合機の保守会社へ事前確認してください。
まとめ:電話機の新しさではなく、代表電話を止めない設計で選ぶ
ビジネスフォンとクラウドPBXの違いは、単に固定電話かスマホかではありません。主装置の置き場所、端末の自由度、工事、ネットワーク依存、周辺機器、番号移行、非常時対応を含めた電話運用全体の違いです。
固定席中心で既設設備との連携を重視するならビジネスフォン、外出・在宅・複数拠点に対応したいならクラウドPBXが有力です。ただし、どちらを選ぶ場合でも、代表番号の引継ぎ、同時通話数、FAX・ドアホンなどの周辺機器、障害時の受電方法、5年総コストを確認してから契約しましょう。電話設備の見直しは、便利な機能を増やすためだけでなく、顧客からの大切な電話を取りこぼさないための業務設計です。


